
2019年、ミシュランガイドで一つ星を獲得した日本料理の名店が、岐阜市にあります。
グルメな知人から評判を聞いて訪問した、とっておきのお店をご紹介します。
お店の名前は「匠味 平野」。
岐阜市の柳ヶ瀬商店街の近くにあり、岐阜駅から歩いて15分ほど。
柳ヶ瀬商店街から少し奥まった場所にひっそりと佇むそのお店は、ゆっくりと静かに過ごしたい大人の方たちから人気です。
今回は、私も気心の知れた友達と、静かに大人の夜の会食を楽しみました。
実際に訪問する前は、「ミシュラン一つ星を獲得したお店に訪問できるのは嬉しいけれど、格式が高そうで緊張してしまいそう」と少し気後れしてしまいました。
しかし、実際に訪問してみると、店内は物腰柔らかな店主と、静かに食事を楽しんでいらっしゃるリピーターの方々との穏やかな空気が流れていました。思わず、緊張が和らぎ、結果的にはのんびりと心地良い時間を過ごすことができました。
【この記事からわかること】
・ミシュラン一つ星「匠味 平野」の実力と、実際に訪れて感じた魅力
・岐阜の旬の食材と、京料理が融合したコース料理の全体像と、実食レビュー
・コース内容から読み解く価格帯・予算感と、訪問前に知っておきたいポイント
・岐阜駅・柳ヶ瀬エリアからのアクセス、駐車場情報、営業時間と予約のコツ
・混雑を避けてゆったり楽しむための訪問タイミングと注意点
今回は、実際に私が2024年夏に訪問し、実食しながら撮影した画像等と共に、食事の感想をご紹介します。
「匠味 平野」の会席コース料理は、『岐阜の風土が生む食材』と『京料理』の融合
「おまかせコース料理」を実食してみた!
お店への予約は電話で行い、その際に食べられないものや好き嫌いを事前にお伝えしました。
私たちが頼んだ「おまかせコース料理」は、15,000円ほどでした。
ただし昨今の原料高騰もあるため、現在の価格の詳細については直接店舗にお尋ねください。
料理はアラカルトで注文することも可能です。
私は、親方・平野さんにおまかせした献立が、どのようにコース料理の中で構成されているのかを見たかったので、結果、「おまかせコース料理」で良かったですし、とても満足でした。
お酒をじっくり楽しみたい方には、「アラカルト」という選択肢も良いかもしれません。
前菜は、季節料理のおばんざい

上の写真にある前菜は、京料理のおばんざいのような、上品に盛り付けられた岐阜の旬の食材たちです。
写真の手前、左側からそら豆、その奥にはタコの蒸し物、その奥には茗荷とオクラの和え物、その隣にはホタルイカの酢の物、右手前には白身魚の蒸し物ときゅうり巻き、そして一番手前には鶏肉が添えられていました。
一皿に盛り付けられた美しい素材たち。一品一品がとても繊細で、上品な味付けで、素材本来の個性が控えめな味付けによって見事に生かされていました。日本料理らしくお出汁は上品で奥ゆかしく、素材の旨味を丹念に引き出してくれています。
目でも舌でも、五感のすべてで季節を感じることができて、「さすが和食料理だなぁ」と感心しながら、一つひとつの品をゆっくりと味わいました。
美味しいものを囲んで、気心の知れた友と語らう贅沢で癒される瞬間ですね。
特に印象に残ったのが、柔らかく茹でられたタコです。上の写真左、そら豆の奥にあるタコが箸だけでほぐれるほど柔らかく煮込まれていました。
上に添えられた生姜がアクセントになり、お出汁の旨味と相まって、実に良い塩梅でいただくことができました。
ブレス(管理人)一品一品がとても繊細で、うっとりするほど綺麗な盛り付けでした
「匠味 平野」の店主(親方)・平野功治さんは、京都での料理修行を経て地元の岐阜に戻られました。
現在は、地産地消を心がけ、「岐阜の豊かな食材を世に広める」ことを使命として、日本料理の世界で活動されています。
岐阜県といえば、長良川の清流が育む絶品の天然鮎や、飛騨の山々から届く新鮮な山の恵みが世の中に広く知られています。それら豊かな食材を季節ごとに彩り鮮やかな逸品として提供するため、仕入れから仕込み、調理に至るまで徹底的にこだわり抜く姿勢が、お料理の節々から伝わってきます。
どの料理も、『岐阜の風土が生む食材』と『京料理』の技法が見事に融合しており、出汁ひとつをとっても、とても上品で繊細な味わいです。
各地で様々な食事を体験してきましたが、まだまだ知らない岐阜の豊かな食材があります。
このように、岐阜の食材をさまざまな形で提供してくださると、それら豊かな岐阜の食材を私なりに知ることができて、とても勉強になります。ありがたいですよね。
お刺身の盛り合わせ「鳥貝、海老、イカ、白身魚」


次は、刺身好きの私にとって待ちに待ったお造りの盛り合わせです。上の写真のように彩りがとっても綺麗で、しばし見とれてしまいました。
鳥貝の上に添えられたラディッシュの赤色が彩りを添えています。
まず手前左の鳥貝は、しっかりとした歯ごたえがあり、噛むほどに上品な甘みが広がっていきます。
手前右側の白身魚はキスはとっても新鮮で、噛むほどに白身魚本来のさっぱりとした旨みがゆっくりと広がりました。
中央奥はスルメイカです。
実に滑らかな舌触りで、噛み締めるほどに甘みが増し、思わず笑みがこぼれる美味しさでした。
そして一番奥の海老は、ぷりっとした弾力が記憶に残っています。
鮮度の良さが伝わり、海老本来の濃厚な甘みが際立っていました。
最近は鳥貝やイカなども年々貴重になってきているだけに、このようなお造りをいただけること自体が贅沢です。
どのお刺身もそれぞれの素材本来の味が濃厚で、鮮度の良さが伝わる見事な刺身の盛り合わせでした。
ここまで刺身が新鮮だと、次の料理はどんなだろう?と期待に胸が膨らみました。
うなぎと白ネギ、胡瓜の和物


次は、上の写真にあるように「うなぎと白ネギ、胡瓜の和物」が登場しました。
一口口に含むと、ほどよく煮詰められたタレがかかったうなぎは香ばしく、うなぎ本来の身は口の中でとろけるほど柔らかく、白ネギの甘さやきゅうりのさっぱりとした食感も相まって、全体が見事に調和した一皿でした。
さすが、日本料理の名店ならではの、丁寧な仕事ぶりが伝わる一皿でした。
上品な印象が強く、さっぱりいただけました。
普段使いできる価格帯ではなくても、「丁寧で繊細な料理をいただける時間は、たまの贅沢に良いよなぁ」としみじみ感じながら繊細な料理を口に運ぶ時間でした。
器の底に見える出汁が、とても美味しくて、最後の1滴までいただきましたよ。
岐阜の夏の風物詩といえば、長良川の『天然鮎の料理』


岐阜の夏の風物詩といえば、長良川の清流が育む絶品の「天然鮎」が広く知られています。
鮎漁の解禁期間は、5月中旬から10月中旬まで。
鮎漁の解禁期間、「匠味 平野」では、岐阜県民が待ちに待った炭火の遠火で丹念に焼かれた「鮎」が登場します。
鮎の外側の皮はカリカリと実に香ばしく、中は、箸を入れるとほぐれるほど身が柔らかい、絶妙な「鮎の姿焼き」です。
全体的な塩加減も絶妙で、鮎本来の甘みを堪能することができました。
岐阜県民だけではなく、夏は岐阜の名物である「天然鮎」を求めて県外から足を運ばれるお客様もいらっしゃるそうです。
日本三大清流の一つである岐阜の長良川で獲れた鮎は、「これが本当に川魚? 」と、川魚特有の臭みがないことに驚きました。
天然ものだからこそ、頭から丸ごと味わえるのも醍醐味です。
こだわり抜いた平野の「お任せコース料理」の中に、岐阜の夏の風物詩が組み込まれた贅沢な体験です。
私は、「匠味 平野」の鮎をいただいて、鮎がここまで美味しい魚だとは、初めて知りました。
「匠味 平野」の看板メニュー『手打ち蕎麦』は限定10食


おまかせコース料理も終盤になってきました。
上の写真は稲庭うどんです。私はうどん好きなのでこちらを注文しましたが、知人は「匠味 平野」の看板メニューでもある、平野さん手打ちの『手打ち蕎麦』(限定10食)を注文していました。
夜のおまかせコースの締めを飾る手打ち蕎麦とうどんは、「匠味 平野」の人気メニューのひとつです。平野さんは岐阜・高山の老舗蕎麦店に何度も足を運び、蕎麦打ちの技術を独学で身に付けられたとのこと。
蕎麦へのこだわりは相当なもので、つゆは数種類の出汁に佐賀県産の白下糖を加え、丁寧に熟成させて作られています。おまかせコース料理で提供される締めの麺を目当てに通うファンの方も少なくないようです。
私はうどんをいただきましたが、『匠味 平野』の返しつゆの奥深さと味わいには深く感動しました。
一口すすると、まず削り節の香りと昆布の上品な旨味がうまく混じり合い、口いっぱいに広がります。
熟成されたカエシのまろやかな塩味と柔らかな甘みが絶妙なバランスで溶け合い、深いコクがあります。麺をすするたびに、つやつやのおうどんに極上のつゆが絡み、喉を通った後も心地よい余韻が残りました。
今まで、好きが高じて各地で麺類を食べ歩いてきましたが、平野さんのつゆは後々まで記憶に残る、印象深い味わいでした。
青のりの味が染み渡る「お茶漬け」


さて、これがいよいよ最後のお料理です。
最後のお料理は、上の写真のように青のりの磯の香りが優しく広がるお茶漬けでした。
ご飯の上には可愛い丸い天かすが散りばめられ、三つ葉も添えられています。
見た目はシンプルで地味ですが、一口味わうと、和風出汁の奥深さに心がほっとします。
心がほっと落ち着く味わいです。この安心感こそが、昔ながらの日本料理の独特な味わいですね。
青のりの豊かな風味と三つ葉のほろ苦い爽やかさ、また天かすのコクがご飯と一体になって、コース料理の終盤にもなると、既にお腹はずいぶん満たされているはずなのに、不思議とお箸が進んでいきます。
このお茶漬けには、日本料理で丁寧に引いた出汁の繊細さが行き渡って、日本料理のコースの締めにふさわしい一皿でした。
居酒屋などの濃い味を好まれる方には、ちょっと物足りないかもしれません。
しかし、これくらい優しい薄味の出汁加減のほうが、満腹になったお腹に優しく、無理なく食せて私は好きでした。
こちらも、平野さんのお仕事の丁寧さが伺える料理です。
お茶漬けの和風出汁の最後の一滴まで、惜しみなく美味しくいただきました。
お腹もパンパンに膨らみ、「は〜満足!」と思わず声が出ました。
おまかせコース料理の締めの「デザート」は黄桃ゼリーのせアイスクリーム


お腹いっぱいで帰り支度をしている最中、うっかり忘れていましたが、最後にデザートが登場。
バニラアイスクリームの上に、美しく添えられた黄桃のゼリーです。
ゼリーは、桃の旨味を邪魔しない柔らかい仕上がりで、トロトロです。
ひとくち口に含むと、黄桃の甘さとみずみずしさが、ゼリーの食感と一緒に口の中に広がります。
アイスクリームも一緒に含むと、黄桃の甘さとほどよくマッチして、食後なのに重たさを感じない、爽やかな味わいの一体感です。
今までの、日本料理のおまかせコース料理の余韻を壊さない、優しい甘さのアイスクリームと黄桃のゼリーでした。
私は大の甘党なので、もう少し甘くても良いし、量があっても一気に食べられますが、この控えめさがちょうど良いんですよね。日本料理の上品さを醸し出しています。
デザートは控えめながら、最後に心を掴まれるような、ほんのりと余韻に残る優しい甘さのデザートです。
「季節が変わると、どんな締めのデザートになるのか?」また訪問したくなります。
再訪はある?価格以上の満足感が得られる『おまかせコース』


私はこれまで、『匠味 平野』に、数回訪問したことがあります。
決して気軽に通える価格帯ではありません。
同じような価格帯のお店は数多くありますが、なぜこちらのお店がそこまで人気があるのでしょう?
理由は、シンプルに、店主の平野さんの真面目で誠実な人柄や、心のこもった丁寧な仕事、こちらを和ませてくれる心地よい空間での過ごし方など、価格以上の満足感があることが大きいのではないでしょうか。
また、一言二言ですが店主の平野さんとお話をしました。
実際にお話をしてみた印象は、店主(親方)の平野さんは日本料理の職人らしく、大変真面目で腰が低く、謙虚なお方でした。
「そこまで頭を下げてくださらなくても」と思うくらいに深く頭を下げてくださいます。
そのため『匠味 平野』のお料理は、どれも平野さんの謙虚なお人柄を映し出したかのように、実直で繊細な仕上がりです。それでいて、どの料理も力強く豊かな素材の味が印象に残ります。
ですから、「訪問するたびに新しい発見がある」と言われる熱心なファンの方々の声にも納得します。
そしてやはり、最初から最後まで「なぜこのような料理の順番にし、この素材を並べたのか」という平野さんの意図が見えるコース料理が、私はおすすめなのです。
お店を出る頃には、「来て良かった」と自然に思えることも『匠味 平野』ならではです。
店内のカウンターは気心の知れた常連客で賑わっており、平野さんとの長年のお付き合いが伝わってくるような、温かい会話が交わされていました。
頻繁には通えなくても、季節が変わればコースの料理内容も変わるため、次は秋や冬、春などにも一度訪れてみたいと思っています。
店舗情報|匠味 平野(たくみ ひらの)・岐阜市


・店名:匠味 平野(たくみ ひらの)
・住所:岐阜県岐阜市御浪町10 御浪ビル1F
・電話番号:058-263-8644
・ジャンル:日本料理(割烹・懐石)
・営業時間 :月〜土:17:30〜22:00 / 祝日:17:00〜21:00(※コースは2時間半程度、予約制)
・定休日 :日曜日、第1月曜日(※月曜日が祝日の場合もお休み)
・予算 :ディナー:約15,000円〜20,000円前後(※おまかせコース主体)
・席数 :20席(カウンター8席、個室3室) ・予約 :可(コース料理のみの予約制)
・支払い方法 :クレジットカード可(VISA、Master、JCB、AMEX、Diners)、電子マネー不可、QR決済不可
・最寄り駅 :名鉄「名鉄岐阜駅」から徒歩約13分、JR「岐阜駅」から徒歩約15分
・車でのアクセス :提携駐車場あり(共有有料:会計時に駐車券提示で対応)
・バスでのアクセス :岐阜バス「柳ヶ瀬」バス停から徒歩約1分、「徹明町」バス停から徒歩約3分
※店内全面禁煙(店外に喫煙スペースあり)
まとめ|本格日本料理を、ゆったり静かに味わいたい方におすすめ
豊かな「岐阜の風土」と「京料理」の融合を味わえる、本格的な日本料理店「匠味 平野」。
岐阜で、落ち着いて静かに大人の夜の会食をしたい方には、ぴったりのお店です。
日本料理独自の出汁の繊細さや奥深さ、季節感などが際立って感じられる料理の数々は、ミシュラン一つ星を獲得したことにも頷けます。
予約の際は、事前に食べられないものを伝えておきましょう。
またお部屋のリクエストにおいては、職人の手仕事を堪能できるカウンター席や、大事なお話に適した個室など、シチュエーションに合わせて席を選ばれるのが良いでしょう。
帰り際、店主の平野さんが玄関まで見送りに来てくださり、私たちを丁寧に見送ってくださいました。
終始、腰が低く奥ゆかしいお人柄が最後まで印象的でした。
決して、普段使いできる価格帯ではないお店です。
しかし、名古屋や京都、東京などの都心部なら立地などを考えると、さらに価格帯は高くなるでしょうし、「おまかせコース料理」の価格帯としては満足度の高い内容だと感じました。
この内容をこの価格でいただけるなら、個人的には、納得できる価格設定だと感じました。
記念日やご褒美、特別な日の会席や、大切な人をお招きしたい時など、大切な人と静かに会食を楽しみたい方にはおすすめのお店です。



私自身、正統派の日本料理店は、意外とすぐには思い浮かびません。そんな時、岐阜で落ち着いた和の空間の中、本格的な日本料理をじっくり味わいたい方には、「匠味 平野」を候補の一つとしておすすめしたいお店です。
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