
岐阜駅から車で10分ほどの長良川の近くに、岐阜産の無農薬野菜にこだわり、岐阜の山の恵みであるジビエ料理を得意とする自然派料理店『糧(qualité/カリテ)』があります。
2021年にオープンしたこのお店には、岐阜の方々や、生産者の方々の「糧(かて)になる」というオーナーの思いが込められています。私は、その思いに深く共感しました。
また、オーナーシェフはフランスでの料理修行の経験もあり、フランス語で「品質」を意味する言葉『qualité(カリテ)』を組み合わせてあります。この2つの意味を重ね合わせて、『糧(カリテ)』という店名が生まれました。
こちらの記事では、親しみを込めて、ここからは『カリテ』と記載させていただきます。
地産地消と発酵文化を大切にし、岐阜の食材を育てる生産者とつながり応援するこちらのお店は、地元の食通の方々に愛されて、今では県外からも食通が訪れるお店となりました。
私はオープン当初から何度か伺っています。今回は2026年春、実際に私が食したコース内容と、撮影した写真と共にご紹介したいと思います。
・岐阜市『糧(qualité/カリテ)』が人気を集める理由と、生産者を大切にする姿勢
・岐阜県産の無農薬野菜やジビエ、発酵料理を味わえるランチコースの実食レビュー
・発酵料理研究家でもある中根シェフのこだわりと、岐阜食材への思い
・築100年以上の古民家をリノベーションした、店内の雰囲気
・ランチ・ディナーの予約方法や営業時間、駐車場などの店舗情報
皆様のご参考になれば嬉しいです。
岐阜の生産者の方々を、未来へ繋ぎたい
オーナーの中根正貴さんは、名古屋やフランスで修行を積んだ後、現在は岐阜で飲食店『カリテ』をオープンされました。
名古屋の飲食店で働いていた頃は、『生産者の顔が見えにくい』環境に違和感を感じていたといいます。
その後、岐阜との縁があり、自然派食堂『ミツバチ食堂』で長らくシェフを務めていた際に、岐阜の素材の素晴らしさに触れ、「岐阜には、ここまで素晴らしい食材たちが豊富にあるんだ」と感銘を受けたそうです。
私が初めて『カリテ』を訪れたのは、2021年でした。
「このお店は何かが違う。ただ食事をするだけではない飲食店だ」という感覚を受けました。
オーナーの中根さんが作られる料理には、その向こう側に作り手である生産者の顔が見えてくるようなぬくもりが感じられ、一般的なレストランとは異なる空気感に驚いたものです。
今では、オーナーの作る料理だけではなく「岐阜の生産者を未来へ繋ぎたい」という想いに共感し、来訪するリピーターの方が多くいらっしゃいます。
岐阜で作られた無農薬の「旬の野菜」のテイクアウトコーナーあり

岐阜の生産者の方々が手塩にかけた生産物を使うことで、生産者の方々を支えたい、そんな思いで、日々オーナーの中根さんは『カリテ』のキッチンに立ち、一皿一皿に愛情を込めて料理を作っています。
『カリテ』のドアを開けてすぐ入ったところには、岐阜の生産者さんたちが作った野菜が並べられています。
なんと、販売の手数料は一切受け取っていないそうです。
ある時、私が少しでもお役に立てればといくつかの野菜を手に持ってレジに行くと「生産者の方々がいなければ、自分たちのような飲食店はやっていけない。少しでも生産者の収益になればという思いで野菜を置かせてもらっている」との、中根さんの「生産者の力になりたい」という思いを聞かせていただきました。
無農薬の野菜ですからとても貴重品ですよね。
お店への手数料がない分、お値打ちにお譲りいただけてとてもありがたかったですが、中根さんの生産者を末長く支えたいとの思いには深く心が打たれました。
『カリテ』の店内入り口付近に並ぶ、色彩豊かな旬の野菜たち。それらはすべて岐阜県内の生産者たちによって作られた貴重な無農薬野菜です。
野菜の販売日は曜日によるそうです。収穫時期にもよるでしょう。
新鮮な無農薬野菜をお求めの方は、事前にお店に確認を取っていかれることをおすすめします。
『カリテ』の店内空間|築100年の古民家で味わう癒しの時間

『糧(カリテ)』の店舗は、築100年以上経過した、味わいのある古民家をリノベーションしています。
お店の壁の中に組み込まれた、レトロな窓ガラスを活かした空間演出により、店内には柔らかい光が差し込みます。
ここで食事をすると、時の流れを忘れてゆったりと、くつろぐことができます。
また、お箸やナイフなどのカトラリーはもちろん、店内のインテリアに至るまで、そのすべてが岐阜県内の職人によって手がけられた作品たちというのも感慨深いですね。
オーナーの岐阜への愛が、随所に表れています。
私が伺った日は、お席が満席で店内の写真を撮ることはできませんでしたが、料理にあたる柔らかな照明の雰囲気で店内の空間を感じていただけたら幸いです。
おしゃれなレストランは、洗練された印象が多いですが、こちらのお店は、古民家ならではの日本の文化が感じられる落ち着きがあって癒されます。
ゆっくりと時間を過ごすことができるので、遠方から来た友達を連れて行きやすいです。
お味はいかに?「夏みかんのムースとマドレーヌ」の思い出
上の写真は数年前にいただいたランチコースの最後のデザート「夏みかんのムースとマドレーヌ」。
組み合わせがお茶目です。
夏みかんのムースは、酸味が爽やかで、食後にぴったりです。
上にかかったマーマレードジャムは、夏みかんの皮を柔らかく煮詰めて全体的にほろ苦く、甘さも酸っぱさも程良い加減。
奥にはマドレーヌ、こちらはしっとりした焼き上がりで、上品な甘さが印象的でした。
スプーンの上にはチョコレート味のメレンゲ、軽くサクサクした食感が心地よい口当たり。
最後のデザートまで、実に丁寧な仕事であることが伝わってきて、オーナーの中根さんと奥様、お二人の職人気質が感じられる一皿です。
素材の向こう側にある、生産者の物語を伝える料理
『カリテ』のメニューには、生産者の方々の名前が記載されています。
中根さんのちょっとした気遣いが、料理の奥に隠れて私たちが見過ごしてしまいそうな大切なドラマを感じさせてくれます。
タイミングが合えば、お客さん一人ひとりに作り手の思いや背景、素材のエピソードを説明してくださいます。
中根さん自らが、日々県内の農家さんに直接足を運び、無農薬野菜やジビエ、川魚などを厳選して仕入れてこられます。その目利きの経験と、素材に対する情熱と真摯な思いが『カリテ』の一皿一皿に込められているのを、私は毎回肌で感じます。
実食レビュー|『糧(カリテ)』のランチコースを体験してみた
岐阜県産の「無農薬野菜のサラダ」

岐阜県産の無農薬野菜たちが、色彩美しく添えられているサラダです。
赤カブとニンジン、レタス、大根、チコリ、水菜がこの日は豊富にありました。
ドレッシングはごまだれ風味の和風の味付けです。
オリーブオイルとビネガーの酸っぱさもちょうど良く、野菜をたくさん食べられそうな薄い味付けでした。
こちらのサラダは全体的に素材の力が生きており、さわやかでとっても美味しかったです。
オリーブオイルがかかった「温かいコーンスープ」

上の写真にあるように、続いて運ばれてきたのは、コーンスープの上に艶やかなオリーブオイルが綺麗にかけられた「温かいコーンスープ」です。
ひと口いただくと、とうもろこしの優しい甘みがじんわりと口の中に広がり、素朴なその味わいにほっこりと心が癒されるような気持ちになりました。
オリーブオイルの上品な香りが良いアクセントになって、スープ全体のコクをさらに引き出しています。
一口ずつスープをいただくたびに、じんわりと体の内側から温まっていくのを感じました。

「岐阜産の鶏肉のソテー」バジルソースのせ
次は、「岐阜産の鶏肉のソテー」がやってきました。上の写真をご覧ください。
鶏肉のソテーの上には、バジルソースが載っています。そして、深い紅色のサツマイモとにんじんが添えられています。
お味は、鶏肉はしっとりと柔らかく、噛むほどに、口の中で鶏肉本来の豊かな旨みが広がっていきます。
爽やかでさっぱりしたバジルソースとの相性は、それは抜群です。
バジルソース自体も、新鮮でほどよい苦味と甘みがあり、鶏肉の本来の味をうまく引き出していました。
上質な素材を生かした、控えめで品のある味付けが、『カリテ』らしい料理だと個人的に感じました。
私は、これまで国内で様々な美食を少なからず味わってきましたが、これほど質の高い肉料理をコースで食べようと思ったら、気軽には手の届かない価格帯になるでしょう。
豊かな山々に囲まれた岐阜の地だからこそ、お手頃な価格で上質な肉を味わえることに、しみじみと、「幸せな経験だなあ」と感じました。
『糧(カリテ)』の中根シェフは『発酵料理研究家』でもある

「真鯛のソテー、里芋とカブ、ほうれん草添え」
『カリテ』のオーナーシェフ・中根さんは、発酵料理研究家としても活躍されています。
岐阜県長良川の鮎をおよそ1年かけて発酵させた、究極の保存食である「熟鮓(なれずし)」を作られています。
自ら麹(こうじ)を育てるほどに麹の研究に熱心で、ご自身が作られる料理の食材の味を引き出すために、麹を育てていらっしゃるのです。
中根さんが、麹まで「自らの手で育てている」と知った時は、本当に驚きました。
朝早くから仕入れに行って、お店が終わった後はずっと仕込みもあり、仕込みの仕事量だけでも大変なはずです。さらに自ら農家さんのところへ足を運び、多忙を極める中根さんの「どこにそんな時間があるのだろう?」と圧倒されたものです。
ここまで素材そのものに向き合ったり、発酵に対して熱心に研究する料理人は、なかなかいらっしゃらないのではないでしょうか。
『糧(カリテ)』で提供される料理には、至るところに中根さんが時間をかけて作り上げた、麹の隠し味が生かされて感慨深いです。「これは、中根さんが大事に育てられた麹なんだ」と大切にいただいています。
上の写真は「真鯛のソテー、里芋とカブ、ほうれん草添え」です。
メイン料理は魚か肉から選びます。
こちらの魚は、以前ランチに伺った時に選んだメイン料理の魚です。
真鯛は身が柔らかく、ふっくらと焼き上がっています。一口食べると、甘い汁とともに真鯛の甘い香りと芳醇な出汁の旨味が口の中に広がりました。
添えられたほうれん草も実に甘い。里芋やカブは優しい甘み。すべて野菜本来の美味しさを改めて感じることができる塩加減と焼き具合でした。
やはりこちらも派手さで勝負ではなく、素材の持ち味を存分に活かした『カリテ』らしく素材の持つ旨みを引き出した一皿でした。
肉の旨みが染み込む「岐阜県産の豚肉と、小松菜のパスタ」

次は「岐阜県産の豚肉と小松菜」のパスタになります。
シンプルで強い味わい。塩加減が絶妙で美味でした。
豚肉が甘く、想像以上に豚肉の出汁がパスタに染み込んでいました。
ほのかに苦い小松菜が全体の中でうまくアクセントになって、混然と一体になった味が良く、フォークが止まりません。
豚肉と小松菜の出汁がよく出たスープが美味しくて、スプーンで最後の一滴まですくいあげました。
気がつけば、あっという間に完食していました。
この日は私はハツシモのご飯で締めくくりたかったためパンはあいにく注文しませんでしたが、パンと一緒にいただくのも最高でしょう。
中根さんお得意『カリテ』の看板メニュー「スパイスカレー」

こちらは『カリテ』のコース料理の締めに出るスペシャルなスパイスカレーです。
スパイスの良い香りがして、テーブルに置かれた瞬間、一気に食欲をそそられます。
こちらは、オーナーの中根さんのお得意の一品です。
鶏の胸肉がたくさん入っており、辛すぎず、いくつもの重なるスパイスの深い味わいが感じられ、私はこのカレーが、クセになるほど好きなのです。
細かく裂かれた鶏の胸肉は柔らかく、口の中に入れた途端、その旨味が広がりました。
コースの締めとは思えないほどの満足感で、私は、毎回「このカレーだけ単品でも食べに来たい」と思ってしまうほどお気に入りの一品です。
お皿のサイズもちょうど良いのです。
ご飯とカレーの分量が可愛らしくて、良い加減です。
コースの締めは、シェフの奥様(パティシエ)が手掛ける「苺ソースのブラマンジェ」

コースメニューの締めくくりは、中根シェフの奥様であるパティシエが心を込めて作ったデザートです。
見た目も綺麗で癒されますね。
焼き菓子も豊富に揃っており、帰りにテイクアウトすることも可能。『糧(カリテ)』の入り口付近には、その日に焼き上がったお菓子がずらりと並んでいます。
コース料理の最後のデザートが控えめなお店もありますが、こちらは気合が入っています。
中根さんの奥様が作られたお菓子は、甘さ控えめでありながら重厚感のある味わいです。
どちらで修行されたかはわかりませんが、フランス菓子のような重みがあるんですよね。
それでいて、さっぱりとした甘みなので胃にもたれないのです。
素材にもこだわり、てんさい糖や岐阜県産の平飼い卵など、厳選した素材で作られています。
自分へのご褒美はもちろん、お土産としても非常に人気があるようです。
お菓子目当てに買い物に来られるお客さんもいらっしゃるのです。
上の写真はこの日のデザートの「苺ソースのブラマンジェ」。
口の中に入れた途端に、甘い優しさが広がるブラマンジェ、その上にイチゴのジャム、こちらは甘すぎず、ブラマンジェを際立たせる濃厚な味わい。
そして、フレッシュなイチゴは、言うまでもなく素材の良さが感じられる甘いイチゴでした。
デザートスプーンの隣には、メレンゲのお菓子が添えられていました。
軽くふんわりと上品な甘さで、ぺろっとひと口で平らげました。
全体的に優しいお味のデザートです。
『金・土限定』のカリテランチも人気!
金曜日と土曜日のみ提供される、完全予約制の『カリテ』のランチコースは女性に人気です。
ランチは毎日ではなく限定開催となっており、既に予約が埋まっていることも多いため、あらかじめ余裕を持って予約をしておくのが万全でしょう。
内容は、岐阜県産の無農薬野菜をふんだんに使ったサラダやスープ、そして豚のロースや臭みのないジビエなど。
それらを自家製の発酵調味料で仕上げるなど、中根シェフがこだわった発酵の技が、随所に見え隠れします。
デメリットは、人気店なので希望通りに予約が取れない時もあります。
私も以前、直前に予約しようとしたところ、残念なことに満席で諦めなくてはならないことがありました。決め打ちではなく、早めの予約と、候補日を2〜3日挙げておくことをおすすめします。
『糧(カリテ)』のお米は、岐阜県産の「ハツシモ」を土鍋で炊き上げてあります。
コースの終盤に登場する、中根さんの太鼓判料理で、人気メニューのハヤシライスやカレーのご飯がまさに炊きたてのハツシモなのです。水加減がちょうどよく、お米の一粒一粒が立ち、ふんわりと優しい甘みが口いっぱいに広がり、とても幸せな瞬間です。
ブレス(管理人)ちなみに私はランチしか行ったことがありません。料理の内容が充実して毎回、満足感が得られます。夜は夜で、古民家の中の照明の雰囲気が幻想的で癒され、ゆっくりとした思い出になる時間を過ごせそうです。
店舗情報|糧(qualite)/岐阜市
・店名:糧(qualité/カリテ)
・住所:岐阜県岐阜市西材木町41-2
・電話番号:058-213-0386
・ジャンル:オーガニックレストラン/自然派ビストロ
・営業時間 :火・水・木:18:00〜22:00(L.O.21:00)/金・土:11:30〜14:30(L.O.13:30)/18:00〜22:00(L.O.21:00)
・定休日 :月曜日・日曜日
・予算 :ランチ:約3,000円〜4,000円 /ディナー:約6,000円〜10,000円前後
・席数 :22席
・予約 :可(コース中心・事前予約推奨)
・支払い方法 :クレジットカード、電子マネー可、QR決済可
・ 最寄り駅 :名鉄「田神駅」から約2.5km、JR「岐阜駅」から約2.7km(徒歩30〜40分)
・JR岐阜駅から約30〜40分(観光ルート向け・基本は非推奨)
・車でのアクセス:JR岐阜駅から約10〜15分、岐阜ICから約15分前後、岐阜公園・金華山エリア近く、駐車場あり
・タクシー でのアクセス:JR岐阜駅から約10分
・バス でのアクセス:JR岐阜駅から岐阜バス「長良橋」「岐阜公園方面」行き系統、最寄りバス停から徒歩約5〜10分
まとめ|『生産者へのリスペクト』が料理に現れた岐阜のレストラン


2021年にオープンした岐阜市の『糧(qualité/カリテ)』は、着実にファンを増やし、人気の飲食店となりました。
オーナーシェフの中根さんが、開店当初から掲げている、「生産者の顔が見えるお店にしたい」というコンセプトが特徴的なお店です。
店内のテイクアウトコーナーには、パティシエでもある奥様が手掛けた、こだわりのスイーツも充実しています。
もちろん、地元の岐阜で育てられた無農薬の野菜も、レジの近くに並んでいます。
そして、メニューには、作り手である農家さんの名前が、しっかりと掲載されています。
サービスでも料理に登場する農家さんの食材と、食材の背景にある物語を、丁寧に解説してもらえます。
料理の向こう側にいる生産者と、生産者が作ってくださった自然の素材への感謝が、一皿一皿の料理に再現された『カリテ』。
こちらのお店は、素晴らしい岐阜県産素材の再発見と、おしゃれな空間で心地よく美味しいランチを楽しみたいときにおすすめの一軒です。
良質な食材とクオリティを考えれば、決して高すぎることはありません。日常使いのお店とまではいきませんが、「岐阜で美味しいものをいただきながら、大切な人とゆっくり過ごしたい」という時には、おすすめできるお店です。
『カリテ』の魅力は、やはりオーナーの中根さんの、料理だけではない、生産者への尊敬の念や岐阜への深い愛情が伝わってくることが大きくあると、個人的に感じています。
次回は、夜のコース料理にも挑戦してみたいと思います。



皆さんも、岐阜に来られる機会があればぜひ、岐阜のオーガニックレストラン『カリテ』を訪れてみてくださいね。
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